狭い一戸建てで幸せな時間

私の実家は広島の一戸建ての平屋でゴミ屋敷とまではいきませんが雑然としています。小学生のとき、友達が遊びにくることが恥ずかしかったのを覚えています。なぜなら友達は2階に自分の部屋があり、さらにテレビやベッドも自分専用のものがあったからです。

私のうちはすべて共用だったので、寝室は親と一緒で、友達と遊ぶときには家でも親がいる目の前になってしまいました。友達の家では友達の部屋で好きに遊べるのに、自分は親が監視してるみたいで、友達を誘うのも申し訳ないしとそんな気持ちでした。中学生や高校生のときにも外で遊ぶことが増えましたがプライバシーがないようでとてもいやでした。

しかし、大学に進学し念願の独り暮らしを始めると、最初は気が楽だと思っていましたが、だんだん寂しく懐かしく思いました。あんなに嫌だったのにどうしてかと思っていましたが、考えてみれば、親と仲良くしゃべって冗談を言い合って笑ったり、ときにはケンカしたりしながら、ケンカしても同じ部屋で寝て、いつも顔を合わせていました。

そんな生活が幸せな生活だったんだなと、他のひとと比べたり恥ずかしい気持ちを抱いていた自分自身がなさけなくなりました。あんな幸せな時間がすごせたのはあの狭い一戸建てがあったからです。私は狭い一戸建てが実家で本当に幸せです。